近年、特に 2014 年頃からグロースハックという言葉をよく耳にするようになりました。
言葉尻だけを追うと、なにやら怪しい行為なのかと最初は違和感を感じた記憶がありましたが、今では新しいマーケティング手法の一つとして、しっかり定着していますね。
しかし、生まれ持った性質なのか、時代性なのか、グロースハックという言葉だけ定着してしまい、いまいち本当の中身が理解されていないようにも感じます。そこで今回は、グロースハックの考え方を多角的に紹介しつつ、明日から早速使える実践フレームワークを解説して行きます。

 

グロースハックとは


グロースハックとは英語の ” Grow (成長する)”と ” Hack (アイデアを駆使して問題解決する)”が組み合わされた造語で、カッコよく一言で言えば「成長戦略」のことです。しかし、ここで重要なのは、重役たちが決定するようなただの成長戦略ではなく、ユニークな方法で製品やサービスを成長させるクリエイティビティが推奨されることです。すなわち、予算やチャネル、時間、リソースなどの制約に対して、なんとかアイデアを駆使してその制約(課題)を解消しつつ、ユーザーの獲得を目指すことと言えます。

そのためグロースハックによるマーケティングでは、従前の広告代理店任せではなく、少ない予算でもなんとか知恵とアイデアを振り絞り、工夫して自社の商品やサービスを成長させることから、予算がかからないマーケティンング手法であるという副産物的概念が生まれ、根付いています。 そして、この予算がほとんどかからないマーケティング手法という意味合いが一人歩きしてしまい、冒頭の”本当の中身が理解されない”という事に繋がったのではと推察しています。

 

グロースハックの起源


それではグロースハックがどのようにして、どこから生まれたのか別の視点から見てみましょう。 歴史を辿ると初めてグロースハック(正確にはグロースハッカー)という言葉が生まれたのは、 2010 年と言われています。生みの親はショーン・エリス( Sean Ellis )氏で、 Dropbox 在籍時に多くのグロースハック施策を打ち出し結果を残したことで有名で、今では Qualaroo 社の CEO です。

先述の通り、グロースハックは限られたリソースの中、アイデアを駆使して実践していく積み重ねです。
まさしくそのような現場と言えば、そう、スタートアップです。
グロースハックはスタートアップがしのぎを削る「シリコンバレーの失敗を推奨し、失敗を経験と呼ぶ市場文化」の上に生まれてきたカルチャーと呼べます。

 

グロースハックの事例


次にグロースハックが成功した実際の事例を見て行きましょう。 有名な事例はいくつもありますが、グロースハックの親であるショーン・エリス氏が関わっていたDropboxの事例を紹介したいと思います。 Dropbox と言えば、オンラインストレージサービスの有名企業ですが、近年のスタートアップにおけるシンデレラストーリーをいくつも体現した企業です。

そんな Dropbox ですが、会員数を1億アカウント以上に引き上げたグロースハック事例が有名です。
そこで取り組まれた主な戦略は、科学的な分析と実証で製品を洗練させたことと、インセンティブを用いて成長のタネをプロモーションの内部に仕組化したことの 2 つです。

この事例での、科学的な分析と実証で製品を洗練させたこととは、ランディングページや登録フォームなど、顧客視点に立ったコンバージョンの最適化を指します。 そしてもう一つは、紹介者にストレージの使用容量をプレゼントするという施策と、 SNS での拡散による追加プレゼントの組み合わせです。

一見なんの変哲も無い施策に思えるかもしれませんが、 Dropbox のサービス自体が紹介を行いやすい性質を持っており、それをきちんと施策に組み込んだことが価値あるハックであると言えます。また、副産物として見る小予算という点も、既存の顧客というお金が掛からないリソースを活かし小さなアクションを促すことで、絶大な成長を生んでいます。まさにグロースハックのお手本と言える事例です。

 

グロースハックの実践


ここまで座学的な内容を紹介してきましたが、実際に自分の商品やサービスでどう活かせばいいのか考えてみたくなりましたよね。ここでご紹介したいのが、最もポピュラーなフレームワークである「 AARRR 」です。
なかなか呼びにくいですが、「 AARRR 」の呼び方は「アー」と発音します。

「 AARRR 」はサービス全体を 5 段階のステージに分解し、それぞれのステージのどこが成長を妨げているのか把握し改善する思考や枠組みを指しています。そしてそれぞれのステージの頭文字をとり「 AARRR 」となっています。ちなみに「 AARRR 」の提唱者は、 500 startup の創業者デイブ・マクルーア( Dave McClure )氏で、 Linkedin や ebay 、PayPal に出資したスーパーエンジェルです。

少し話が逸れましたが、「 AARRR 」のそれぞれのステージを詳しく見て行きましょう。
「 AARRR 」は、 Acquisition (ユーザーの登録) → Activation (利用開始) → Retention (継続利用) → Referral (他者への紹介) → Revenue (収益の発生)という 5 つのステージを概念化しています。

すなわち、それぞれのステージでゴールを設定し、サービスの現状を分析・把握し改善を進めていくフレームワークであるというのが、「 AARRR 」を定義する事になります。 しかし、重要なのは「 AARRR 」を実践することが、そのままグロースハックという訳ではなく、あくまで一つのフレームワークであるということを認識する必要があります。つまり、 5 つの要素を理解した上で、スタートする順番を Activation (利用開始)を最初に持ってきても、施策によっては成功に近づけるこができます。

 

まとめ


いかがだったでしょうか。 あなたも「 AARRR 」を活用したグロースハックを実践してみたくなりましたか? せっかく興味を持ったのに、グロースハックを取り入れない理由は無いのではと思いませんか?

明日から初めて、明後日の朝には成果が発揮されているという魔法の手法ではありませんが、限られたリソースの中であなたのアイデアを駆使して実践していく積み重ねがグロースハックの醍醐味です。
ぜひ事例のような急成長サービスが実践した”今のマーケティング手法”を試してみてはいかがでしょうか。

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