メールマガジンは顧客とのコミュニケーションを最適化するための強力なツールだと言えます。
こんなことを冒頭に書くと、「いや、そんなことない、メールマガジンはゴミだ、悪だ」と言われてしまいそうです。確かにメールマガジン全盛期では、良からぬ輩に支配されたゴミのような迷惑メールマガジンが横行し、メールマガジンは本来であれば有用というイメージが定着せず、絶対悪のように切り捨てられてきました。

現代のビジネスマンは通常業務で、一日に数百という業務メールから、その日の業務スケジュールを勘案したユニークな優先順位を立て、優先度の高い重要メールから処理を実行するスーパーエリートです。
それでも隙間時間には、自分にとって有用な情報を積極的に取りに行くと事も並行して求められています。
例えば週末デートする際のおすすめスポットもそうですし、長男が欲しいと言っていたおもちゃを最安値で買えそうなお店のリサーチも含まれるかもしれません。

そんな忙しいビジネスマンの求めるタイミングで、適切で有用な情報を伝えることができたとしたら、メールマガジンは本当にゴミでしょうか?私だったら限られた時間の中で、最大の効果を生みそうな情報が、ちょうど良い時間に送られてきたら、どれほど嬉しいか想像できます。

今ではインターネットにおける技術も発達し、悩める超多忙なビジネスエリートに対して、救いの手となる情報をメールマガジンという形で差し伸べることが出来るようになりました。それが出来れば、メールマガジンで関係性の構築と強化ができそうですよね。
そこで今回は、メールマガジンの活用について解説していきたいと思います。

 

メールマガジンの基礎


まずは、メールマガジンの基礎から押さえていきましょう。
そもそもメールマガジンとは、あなたの会社やお店の顧客に定期的にメールを配信することですね。
メールマガジンを利用すると何が出来るかと言うと、メールの受信を許可した顧客に対してクーポンを送信したり、ワークショップなどのイベントの告知をすることができます。

では、メールマガジンを送るために、やらなければいけない事はなんでしょうか?
そう、見込み客のリストを作る事です。
実店舗であれば、会員登録してメールアドレスを教えて貰う代わりに、キャンペーンやクーポン情報を送ると提案するのも良いですし、Webサイトがあればオンラインで登録してもらえる環境をまず作りましょう。
なお、ここで注意点がありますが、商業目的のメールを送る際は、必ず事前に受信者の同意が必要となるので、きちんと同意してもらいましょう。

メール配信を希望する見込み客のリストが作成できたら、次は早速メールマガジンの配信実施です。
詳細は後半部分で触れていきますが、ここでは実際に配信する際の注意点を考えてみます。
例えば、一つのメールに伝えたい内容を詰め込みすぎたり、たくさんのメールを立て続けに送る行為は、避けるべきですよね。メールマガジン本来の有用性は顧客の知りたい適切な情報を届けるという事です。
すなわち、顧客の興味がない情報を送らないようにし、何に関心を持っているのか理解することに努めることが大切です。

最初のうちに出来る事としては、見込み客の関心事項を絞るために、メールマガジン登録時に2つか3つ質問をしてみると良いかもしれません。見込み客の関心事項を少しでも知ることが出来れば、次からその見込み客が関心を持ちそうな具体的な提案をメールマガジンで送ることができます。
例えば、アパレルショップでスカートを購入した顧客が分かっていれば、それに合わせる流行りのトップスを紹介できます。その際には来店特典を設け、再度お店を訪れてもらえるような提案も含めることができます。

また、メールの内容を楽しく便利にする努力と工夫をすることで、今後もあなたのサービスやお店を選択してくれる可能性も高くなります。上記のように、メールマガジンは顧客との関係を構築出来る身近な手法であり、それぞれの関心事項に基づき、メッセージを変え、顧客にとって便利で魅力的な提案をすることが重要です。ひいては、単発の取引ではなく、長期的な結びつきをイメージすると、どんなお手伝いをしてあげれるか想像出来るようになるかもしれませんね。

 

メール配信システムの機能


メールマガジンの基礎を知り、配信の準備できたら、次はメールマガジンの始め方を見ていきましょう。
メールマガジンを配信するには、メール配信システムを利用するのが一般的です。
多くのメール配信システムでは、メールマガジンの内容を個別に最適化することが出来るようになっています。まずは、メール配信システムの一般的な共通する機能について見ていきます。

・データベース機能

顧客の情報を保存するための顧客リストなるデータベースです。
顧客リストには送信用のメールアドレスの登録は必須ですが、名前や住所といった情報も保存することができます。Webサイトでもメールマガジンの登録を出来るようにしておけば、Webサイトの訪問者がメールマガジンに登録すると、自動的に顧客リストへ転送されます。

・顧客の分類と抽出

顧客に関する情報が保存されていれば、情報ごとに顧客リストを抽出することができます。
性別や年代が分かれば、それぞれに応じた別の情報を送信することができるようになります。
顧客についての情報量が多いほど、それぞれの顧客分類ごとに、対応を変えることができるようになります。

・メールマガジンの雛形利用

メールマガジンの中身に関して、雛形が準備してあることが多くあります。
あなたの会社やお店にあったデザインを利用でき、同じデザインを何度も利用し、メールマガジンに統一感を持たすことができます。

・閲覧端末のテスト画面

多くのメール配信システムでは、送信前にパソコンや携帯電話、スマートフォンなどの複数端末で、メールの表示画面をテストできる機能があります。
携帯電話やスマートフォンでメールを読む機会も多くなっていますので、メール表示は出来るだけ読みやすいものにする必要があります。

・送信スケジュール機能

メールマガジンを送信する日時を指定して、送信予約することができます。
メール配信システムを使用すれば、メールマガジンを受信した後の顧客の行動が追跡できるようになります。
月曜日の朝一の通勤中であったり、水曜日の昼休みにメールマガジンを閲覧しているのかが分かるようになります。これにより冒頭の多忙なビジネスマンが求めるような、適切な時間にメールを送信することができるようになるはずです。

メールマガジン経由でWebサイトを訪れた人の行動も分析が必要であり、顧客ごとに最適化されたメールを送信することができます。上記のように、メール送信システムを上手く利用し、メールマガジン受信者のアクションを確認し分析することが重要です。

 

メールマガジンの作成方法


ここまででメールマガジンを配信する準備が整いましたね。
それではメールマガジンの作成について見ていきましょう。
ここでポイントになるのは、魅力的な件名でメールマガジンを受信した顧客の興味を引き、メールを開いてもらえるかです。重要なのは、いい第一印象を持ってもらうことです。

それでは想像力を豊かに、自分がメールの受信ボックスを見るときのことを考えてみましょう。
まず目にするのはメールの件名と、差出人欄の会社名の二つです。
相手が誰か分からないメールは怖くて開けませんよね。
相手が誰だか分かり、信頼できる差出人からのメールであれば読んでもらえる確率を上げることができますので、差出人欄には必ずあなたの会社名とメールアドレスを記載してください。

また、メールを読んでもらえる確率を上げる要素として、魅力的な件名のメールマガジンである必要があります。件名が魅力的でなく、押し売りのような営業トークが件名に記載されていれば、もちろん中身も見ずに捨てられるか、迷惑メールとみなされることになります。
できるだけ件名は短くシンプルに、メールマガジンの内容と関連性の高いキーワードを入れるようにすることが成功への近道です。なお、「無料」、「割引」、「再送」、「特別」といったキーワードや、記号、感嘆符などは迷惑メールと認識される可能性があるため絶対に避けましょう。

そして無事にメールマガジンを開封してもらって「はい、おしまい」ではありません。
私ももちろんそうですが、個人のメールでも、それが一日だけでもたくさんのメールを受信しています。
どれだけ美しく魅力的な文章や提案内容でも、忙しい毎日の中ではざっと見るか斜め読みで終わらせることがほとんどかと思います。そのため、内容は簡潔に伝えたいメッセージの核となるものに厳選し、段落は1行から3行程度にまとめるのが良いとされています。

詳しい情報や伝えきれない追加情報に関しては、Webサイトへのリンクを設置するようにし、Webサイトにストレスなくアクセスしやすくすることも大切です。ここでも魅力的なオファーはもちろん有効となりますので、「リンク先での購入で30%オフでご購入いただけます」などの割引を提示するのも効果があるでしょう。
このような魅力的なオファーや重要な情報など内容を強調すべきポイントは、太字などで目立たせるもう一工夫が良いでしょう。
ここでの注意点としては、メールマガジンの中に登録解除や連絡先情報の更新ができるリンクを追加することが必要です。これは顧客目線というだけではなく、法律においても定められていることなので、よく注意するようにしてください。

上記のように様々な工夫を重ねメールマガジンを配信することによって、読まれるものやそうではないもの、人気のあるものや無いものが把握できるようになります。顧客にとって良いメールマガジンを届けることが、関係構築で一番であり、必要とされる源になりますので、根気よく最適化を目指してください。

 

メールマガジンを成功させるための戦略


最後にメールマガジンによる成功を掴むべく、そして顧客との関係強化に向けた戦略を考えることも重要です。ひいては、より良いメールマガジンを世に出すために、何が出来るかといった考察です。

まずはメールマガジンだけではなく様々なマーケティング手法でも使われる「A/B テスト」です。
メールマガジンにとってのA/B テストとは、2種類(AとB)のメールを作成し、どちらが良い結果を出すか確認する手法です。例えば、魅力的な件名が最終的に2つに絞られたが、どちらにするか迷った場合などに、半数にはAの件名で、残りの半数にはBの件名で送信し、どちらが多く読まれたのか計測します。
このようにA/B テストでは、件名・頻度・内容・画像などの比較検証を行うことができます。
月曜日と金曜日で比較することや、週1回と月1回の頻度など、メールマガジンを送る時間や回数を調整することができます。

メール配信サービスによっては、メールマガジンによるキャンペーンの成果測定が出来る分析ツールが含まれていることが通常です。効果的な件名を確認出来る開封率や、メールマガジン内のリンクのクリック率を確認することで、どのメールマガジンがWebサイトへの流入に繋がったか把握出来るようにもなります。
もちろんメールマガジンのリンクからWebサイトに訪問した際には、Webサイト上での行動を確認することで、Webサイト自体の改善にも活かすことが出来るようになります。

 

まとめ


いかがでしたか?
今回はメールマガジンの活用について解説してきました。ネットのゴミとまで揶揄されたメールマガジンですが、これからの時代こそ救いの手になり得るのではないかと思います。
世界一、億万長者を生んだ男として有名なマクドナルド創業者のレイ・クロックの自伝の名前ご存知ですか?
『成功はゴミ箱の中に』です。
あなたのビジネスにメールマガジン試してみませんか?

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