従来の広告宣伝では、ただ単に、より多くの不特定多数に情報が発信されています。しかし、インターネットを活用したネット広告では、「誰に向けて広告を出すか」を明確に定義し、ターゲット集団を設定することが可能になります。特に今回解説していくリスティング広告は、あなたのビジネスから派出する商品やサービスを、積極的に求めている見込み客を対象とすることができます。
それでは早速、「リスティング広告とは」と言った基礎にも触れつつ、リスティング広告のWebマーケティングにおける有効性を見ていきたいと思います。
リスティング広告の基礎
まずは、リスティング広告とは何か?からはじめましょう。
例えば、あなたがブラウザの検索窓で何か検索した時のことを考えてみましょう。検索結果には、検索したキーワードと関連性が高いと、検索エンジンが判断した複数のWebサイトが表示されているいますよね。
その検索結果の大部分は、自然検索の結果であり、大抵のWebサイト保有者なら、そこに自分のWebサイトを表示させるためには費用がかからない事をご存知かと思います。検索エンジンやその仕組みに関しては、以下の通り記事にまとめていますので、ご興味がある方は一度ご覧になってみてください。
参考:【Webサバイバルガイド】#1 検索エンジンにWebページが登録される仕組み
それでは話に戻ります。
先ほど検索した検索結果の最上部を見ていきましょう。ここに表示されているのが、リスティング広告です。
リスティング広告は大手検索エンジンのGoogleやYahoo!が提供しているもので、「検索連動型広告」とも呼ばれる有料の広告です。検索連動型という事もあって、見込み客があなたのビジネスに関連する特定のキーワードを検索した時にだけ、広告を表示させることができるものです。これはリスティング広告の大きな特徴となっており、その広告がクリックされた時にだけ広告主は料金を支払う仕組みとなっています。
つまり、広告が表示されてもクリックされなければ、広告料金が一切発生しないことになります。
従って、このリスティング広告であなたの広告をクリックした人は、ズバリあなたのサービスや商品に関心がある人たちで、なおかつ積極的に情報収集している状態と言えます。
ここが従来の広告宣伝とは一線を画す特徴となっており、リスティング広告は製品やサービスに関心がある人たちを対象にしていることが分かります。
リスティング広告の仕組み
例えばリスティング広告に興味を持ったあなたが、早速広告を作ろうと試しに自分のビジネスに関連するキーワードを検索した時に、同じ検索結果に対して広告を表示させたいと希望する競合他社が複数いるかもしれません。そんな時には一体何が優先され、誰が広告枠を勝ち取れるのか、事前に知っておく事が必要です。
ここでは、リスティング広告の仕組みをや考慮すべき要素について、解説していきます。
結論から始めますが、検索結果に表示できる広告掲載数には数量制限があるため、広告主はオークションで広告枠を競う事になります。検索結果には、オークションで勝った広告が、より上位に表示されます。
一般的に、検索結果は上から下に向かって閲覧されるため、上位に位置する広告ほどいい広告枠になります。
しかし、リスティング広告の醍醐味は、オークションの入札価格だけでいい広告枠を手に入れることが絶対ではないという部分です。リスティング広告の仕組みには、オークションの入札価格だけではなく、広告と検索キーワードの関連性も影響するのです。つまり、高い入札価格で入札しておしまいという訳ではなく、キーワードと広告の関連性を高める事もリスティング広告を活用したWebマーケティングの成功の鍵となるのです。
それでは具体的に見ていきましょう。
見込み客による広告1クリック当たり、広告主が負担する最大費用を「上限クリック単価」と呼びます。
例えば、あるキーワードに対し、Aさんが上限クリック単価を400円と設定し、Bさんは同じキーワードの上限クリック単価を200円にした場合は、Aさんの入札価格の方が高く設定されているため、入札で優位になります。
次の要素は、「品質スコア」と呼ばれ、これは広告と検索されている内容との関連性の評価指標となります。
例えば、AさんとBさんが同じキーワードに対して同じ金額で入札している場合、品質スコアが高い方が検索結果のより上部に表示される事になります。つまり、検索されるキーワードとの関連性は、広告の見直しによって改良することができ、同じ予算でもより効果的にリスティング広告の成果を改善することが出来ます。
では例に漏れず、同じキーワードで競合している以下の2人の事例を見ていきましょう。
Aさん:上限クリック単価を500円で設定。品質スコアは10点中4点。
Bさん:上限クリック単価を300円で設定。品質スコアは10点中9点。
状況としては、Aさんの方が入札価格が高く、Bさんの方が品質スコアが高い、事になっています。
さて、入札の結果はどうなるでしょうか。
リスティング広告では、上限クリック単価と品質スコアの数字を掛け合わせる事によって、その優劣を判断しています。
具体的には、以下の計算ロジックになります。
Aさん:上限クリック単価を500円の「5」かける品質スコアの「4」、つまり5かける4で「20」となります。
Bさん:上限クリック単価を300円の「3」かける品質スコアの「9」、つまり3かける9で「27」となります。
従って、入札価格が低いにも関わらず、Bさんの方がより上部に広告が表示される仕組みになります。
リスティング広告はこのような仕組みで、より関連性の高い広告が上位に表示される仕組みになっています。
ですから、リスティング広告は費用を抑えながらも、自社の広告をより上部に表示させることが出来るような改善策を持ち合わせた、Webマーケティングの一種と言えます。
リスティング広告とWebマーケティング
ここまででリスティング広告の基礎と仕組みを見て来ましたが、もともと備わっている性質としての検索連動型、そして仕組みから導き出せるのは、見込み客を「集客するためのツール」としても利用出来るということです。名前に広告と入っているので、広告費を掛ければすぐさまコンバージョンを期待出来ると想像しがちですが、賢く使うのであれば集客用のマーケティング費用として捉えると良いかもしれません。
つまり、リスティング広告は短期間であなたのビジネスの売上を爆発的に上げる仕組みではなく、中長期的な集客ツールとして利用することで、費用対効果を期待できる仕組みに出来るということです。
例えば、予算20万円をある1ヶ月間に全て投入するのではなく、3ヶ月で6万円ずつ投入する事により、その3ヶ月間で品質スコアやキーワードの再選定など、分析と改良に有効なマーケティング上の効果が見込めるからです。また、その3ヶ月間で得た知見や分析結果は、当然自社のWebサイトの改良の材料にも活かすことが出来るので、さらなる費用対効果の改善にも繋がります。
このように自然検索とは一味も二味も違う攻め方のリスティング広告で、あなたのビジネスを加速させる意味ある、有料のマーケティングツールをご使用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
リスティング広告は自前で腰を据えて取り組む業務としては、少しヘビーな内容ではありますが、勉強と実践を繰り返す事により、明確に他者との差別化が実感出来る分野の一つです。
ですが、準備期間を含めリスティング広告を掲載している期間そのものが、メリット化しやすい利点もありますので、あなたの会社のご予算に応じて、試されるのも良いかもしれません。
実践的フレームワーク「 AARRR 」を使ったグロースハックの方法
近年、特に 2014 年頃からグロースハックという言葉をよく耳にするようになりました。 言葉尻だけを追うと、なにやら怪しい行為なのかと最初は違和感を感じた記憶がありましたが、今では新しいマーケティング手法の一つとして、しっかり定着していますね。 しかし、生まれ持った性質なのか、時代性なのか、グロースハックという言葉だけ定着してしまい、いまいち本当の中身が理解されていないようにも感じます。そこで今回は、グロースハックの考え方を多角的に紹介しつつ、明日から早速使える実践フレームワークを解説して行きます。 ...
はじめてのオウンドメディア作りで最初にすべき 5 つのこと
前回は、トリプルメディアでも中心的メディアであるオウンドメディアの作り方(思考編)を解説してきました。スタートアップも個人事業も、今やリーンな思考が主流ですので、乗り遅れないように早速オウンドメディアを作っていきましょう。 そういうわけで今回は、オウンドメディアの作り方(実践編)を解説していきます。思考編をまだ読んでないという方や何が買いてあったか忘れちゃったという方は、時間がある時に読んで見てくださいね。 関連記事:【 Web サバイバルガイド】#11 オウンドメディアの作り方(思考編)...
オウンドメディアの作り方 〜 目的と独自性が重要な理由
これからのビジネスに欠かせない Web 上での集客に期待されているのが「オウンドメディア」です。 オウンドメディア( Owned Media )とは、その名の通り自社 / 自分が所有するメディアのことを指します。 Web マーケティング界隈においては、見込み客にリーチしていく手法の一つとして、トリプルメディアと呼ばれる集客フレームワークを用いています。トリプルメディアには、オウンドメディアの他にペイドメディア( Paid Media )とアーンドメディア( Earned Media )が存在します。...
トリプルメディア戦略の特徴とそれぞれの強みを引き出す活用方法
トリプルメディアとは、見込み客にリーチしていく手法の一つとして、 Web マーケティング界隈で用いられる集客フレームワークを指します。トリプルということですから、当然 3 種類のメディア(媒体)を通して、集客を実行していきます。かっこよくカタカナで書いてあるので、少し気が引けるように感じますが、日本語で言えば高々「 3 つの媒体」戦略です。 登場背景としては、インターネットが発達し幾多の Web サービスが生まれてきた中、 Web...
Google サーチコンソールで必ず押さえておくべき Fetch as Google
前回は Google Search Console (グーグルサーチコンソール)の基本と使い方について、概要を見てきました。 基本的には Search Console に Web サイトのパフォーマンス情報を教えてもらうような使い方が多くありました。今回は引き続き、使い方編にはなりますが、 Search Console に作業をお願いして、実施してもらうような使い方を解説していきます。 Google が Web サイトを認識する仕組み Search Console を理解するためには、 Google...
Google サーチコンソールの基本的な使い方
Google Search Console は Web に関係する全ての人に向けられたサービスの一つです。 活用方法が適切に理解できていなかったり、有益なレポートの存在が知られていなかったりと、最大限活用できていないケースもあったりします。 そこで当ブログでは、そんな勿体無いケースが生まれないよう、そして、あなたの Web サイトを訪れる訪問者と検索エンジンにとって、あなたの Web サイトがさらなる有益なものとなるサポートが出来るよう、Google Search Console に関する事項について、連載形式で解説して行きます。...
世界初の携帯電話から掛けた先は固定電話が発明されたあの場所だった
今の世の中、なくてはならないものと言えば、おそらく携帯電話(スマートフォン)でしょう。 携帯電話(スマートフォン)の登場で、21 世紀の私たちの生活は根底から変化したと言っても過言ではないかと思います。 携帯電話(スマートフォン)の発祥は? では携帯電話のスタート地点はどこだったのでしょうか。 携帯電話で初めて通話が行われたのが、1973 年(昭和 48 年)と言われています。 1973 年(昭和 48...
企業における効果的なソーシャルメディアの活用方法
インターネットの発達に伴い瞬く間に急成長した1つとして、ソーシャル メディアが挙げられます。 今では毎日、数億人もの人々がソーシャル メディアを利用していることもあり、企業にとっても素晴らしいチャンスとして考えられています。ソーシャル メディアを使えば、既存顧客との関係構築の強化に留まらず、新規見込み客との直接交流が気軽にでき、信頼関係の構築に活用することが容易になりました。 新たな見込み客とソーシャル メディア上で接点を持ち、有用な情報を発信していけば、あなたの商品やサービスを宣伝する機会を増やすことができます。...
実店舗を持つ個人事業主や士業のためのインターネット活用法
インターネットはいつでもどこでも利用することができ、世界中の企業と顧客を結びつけます。しかし、地元エリアなどで地域密着型の店舗ビジネスを営んでいる場合、世界中の人とやりとりする以前に、地元の人にアピールしたいと考えるかと思うのが当然かと思います。 今回は、実店舗ビジネスのインターネット活用法について解説して行きます。 はじめに 実店舗ビジネスが見込み客と繋がる手段として、インターネットが主流となる以前は電話帳が一般的でした。...
はじめてのアクセス解析の前に知っておきたい用語解説
Webサイトの分析ツールは世の中に多く存在しており、それを有効活用することによって、Webサイト上で訪問者がどのような行動を取っているのかを確認することができます。特に活用されているツールの代表格としては、皆さんご存知の「Google アナリティクス」が有名ですね。 「Google アナリティクス」の設定方法や詳細な活用方法に関する記事や情報は多く出回っていますが、基礎であったりそもそもの考え方を解説しているコンテンツはあまり見かけませんので、この記事を執筆するにあたりました。当サイトでの「Google...